アンティバース、アウターリム

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Endgame Study 21: We're in the...『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

Endgame Study 21

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

 

もはや語る言葉もない。

正直、何を書けばいいのかわからない。

だがまぁ、ここまで来たので書くしかない。

 

 

『インフィニティ・ウォー』で描かれるのは、遂に全てがつながるという、これまでのファンへのご褒美と、そしてヒーローの大敗という何にも代えがたいご馳走であった。

 

この物語は、サノスを軸に回る。誰よりも強い(そして狂った)目的意識を持つサノスは、アベンジャーズという障壁を打ち破り、その目標を完遂する。

 

今作で度々持ち上がるテーマは選択だ。主人公であるサノス自身がその選択を糧に動き、最大の選択を迫られる。

スカーレット・ウィッチも、スター・ロードも、自らの愛する人を他の為に手にかける選択を迫られる。ヒーロー作品ではこのようなトロッコ問題はよく用いられる。

この時の三者の決断の末路がサノスとアベンジャーズの違いを明暗づける。

サノスは、ソウルストーンを手に入れるため、愛する娘ガモーラを躊躇もせず手にかけた。

一方、スター・ロードもスカーレット・ウィッチも、躊躇した結果、悲しみながら引き金を引くことを決断する。

しかし、その行動もむなしく、サノスの意のままになってしまう。

 

そして、ストレンジも、ストーンを守るためにはトニー達を見捨てる気でいた。

しかし、彼はトニーが今にも殺されそうになった時、ストーンを渡すこと引き換えにトニーの命を救う。

おそらくこの行動にはストレンジの見た1400万605のうちの1つに繋がるなにかがあるのだろう。サノスのスナップまでを見越した行動かもしれない。

 

ここから考えられるのは、アベンジャーズはこのトロッコ問題において、5人の為に1人を犠牲にするボタンを押してはならないということだ。

サノスは天秤の上でボタンを押す。しかし彼らはそれにNOと言わねばならない。第3の答えを見つけねばならないのだ。

 

サノスの理論は確かに理に適っているかもしれない。しかし、極論だ。

一度は勝利を許さねばならない、というのも皮肉だが、アベンジャーズは今一度この狂気の選択に対し、自らの存在を問い直さねばならない。

 

ストレンジは1つの勝利への攻略法を見た。そのストレンジは、タイタンにネビュラが来た瞬間にサノスを拿捕するというスター・ロードの作戦に沿った。ネビュラはサノスがガモーラと共にヴォーミアに向かったことを知っていて、ガモーラの不在はつまりサノスが彼女を殺したことを意味すると察した。劇中でもそう動くように、ストレンジが見た未来においてガモーラの死をスター・ロードに間接的に伝えるのはネビュラであった。

ガモーラの殺害を知ったスター・ロードは激昂し、作戦は失敗に終わってしまう。ガントレットさえ外せれば本当に勝てたかもしれない。しかし、ストレンジは怒り狂う彼を止めようとはしない。未来の敗因がこれであるなら真っ先に止めに入らねばならないのに。

 

スター・ロードのこの感情は、サノスへのNOだった。

彼らは、アベンジャーズはこのタイタン人に怒らねばならない。

何が何でも、アベンジャーズはこの凶行に反発せねばならないのだ。

 

アベンジャーズは、サノスを殺したところで勝つことはできない。

サノスの理論への反論をせねば、勝利をつかめないのだ。

 

一方、目的を完遂したサノスは、どのようにして再び鎧を纏うのか。

サノスには戦う理由がほぼない。何故また立ちはだかるのか?

 

ロッコ問題の第三の解、アベンジャーズのスタンス、サノスの戦う理由、そして……。

 

いよいよ2日後に迫った終末は実に困難な道だろう。しかし、いままで不可能を可能にしてきた彼らを信じるしかない。

 

この前人未到の11年間のフィナーレを、この目で見るしかない。