アンティバース、アウターリム

好きな作品や好きなスタジオについて書けたらいいなと思ってます

Endgame Study 07: シルバーセンチュリオンが好きです『アイアンマン3』

Endgame Study 07

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アイアンマン3

 

 

フェーズ2です。

フェーズ1までとフェーズ2からを大きく隔てる存在こそが、『アベンジャーズ』であり、それ以前それ以後と分けられる。まるでスター・ウォーズにおけるヤヴィンの戦いのようでもある。

そして、『アイアンマン3』は世界を一変させる大いなる戦いの直後の割には、非常にミクロな視点で展開されるのだが、戦いの際に見た脅威をトラウマに抱えたトニーという、『アベンジャーズ』以後という概念を確かに背負ったものになっている。

 

軍需産業アメリカの批判を〝装飾に〟用いながら、『アイアンマン』シリーズは主人公であるトニーの心情にずっとフォーカスしてきた。

 

トニー(特に今回の彼)は、気取りながらも、どこか情けない。

ダークな雰囲気を伺わせる予告からは想像もできなかった本編のハズしたギャグとどこかお間抜けな展開は彼のそんなキャラクターを反映させるかのようだ。

 

 

やはりこのティーザーは素晴らしい……。この路線でも観たかった…

 

ペッパーはキリアンにトドメを刺すのもなんだか皮肉的。彼女がいないとやっていけないトニーの男としての弱さを感じる。

この作品のカッコつけてるけどドン臭い感じが愛らしくて好き。

 

ただまぁマンダリン詐欺には当時はガッカリしたし、予告編のノリを期待したら出鼻をくじかれた気分になったこともまた否定できない。このメインヴィランが実は傀儡だったという展開や、開発してきたスーツを爆破する実行コードの名前が「クリーン・スレート・プロトコル」というのは『ダークナイト ライジング』への当てつけだったのか?と思わず邪推してしまった。

 

されど楽しさに振り切ったのが『アイアンマン3』の強みでもあった。ホーム・パーティ・プロトコルの高揚感は素晴らしい。

ハートブレイカー!ジェミニイゴール!様々なアイアンマンスーツがスクリーンを彩り闇を照らす。

ちなみに僕が一番好きなのはシルバーセンチュリオンです。武器が実剣というクールさ、そしてそもそもコミックで初めて読んだアイアンマン誌がシルバーセンチュリオンへのアップグレード回だったのが要因として大きい。

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すき



 

そしてこの映画はクリスマス映画でもあるのだ。ハーレイ君との邂逅は往年のホリデーシーズンムービーの風格を漂わせる。いつか彼とピーターが共演してほしい

 

そんなハーレイの「エンジニアなら何か作ればいいんじゃない?」という提案とともに、『アイアンマン3』は『アベンジャーズ』で負った心の傷からの原点回帰をもたらす。

テロリストの裏に軍事企業の陰謀がある。(これはこじつけに近いが)

 

飛行機から落とされた人々を助ける→『アイアンマン』の戦闘機パイロットを助ける

このシーケンスは白眉モノだ。落下する人を助けるため互いに手を繋ぐ、というのが最高にいい。ヒロイズムそのものへの達成感に訴える屈指のシーンである。

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そして何より、アイアンモンガーの時と同様にペッパーが最終的な一撃をラスボスに食らわせる。これは本当に共通している。トリロジー最終作としてなかなかな幕引きであると思う

 

 

エンジニアという原点、そして情けない男としての立ち戻りを経て、トニーはリアクターを除去し、新たな境地へと足を踏み入れる。「スーツを奪えても、これだけは奪えない 私がアイアンマンだ」

 

……ただし、このトラウマが本当に克服できたかは疑問が残る。今作で克服できたのは脅威に対するスーツ依存症と極度のトラウマなだけで、脅威そのものへの恐怖感は拭えてはいない。

スーツを作り続けることが彼の強いトラウマへの防衛機制なのかもしれない。

 

MCUを引っ張ってきて、そしてこれ以降も牽引しているアイアンマンは、他のヒーローよりもずっと早く三部作を完結させた。しかし彼のアークはMCUにおいて、続けられてきた。果たして、その歩みはどのように終わるのか?