アンティバース、アウターリム

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Endgame Study 10: エモいやつら『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

Endgame Study 10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

 

 

またしても完成度が高くて逆に何を書けばいいのかわかんないやつ!!!

 

ユニバースを宇宙にまで押し広げた『GotG』は、2014年のマーベルスタジオズが送り出した二つ目の特異点だ。

一方は新鋭の監督による世界観の崩壊で、そしてもう一方は全くの無名キャラクターたちのスペース・オペラのこの2作がなぜかくもの大成功を収めたのかはとにかく研究価値があるのでまた今度じっくり調べたいところだが、悪名高きアイク・パールムッター下の全盛期とも言ってもよいこの年がゲームチェンジャーを生み出したのは興味深い。

2014年は、政治から宇宙へユニバースのバトンが渡された時だ。

 

 

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様々なロケーションが魅力的に登場するのも特徴。

極彩色のスペースオペラを名乗りながらも、今作はカセットテープで始まり、カセットテープで終わる。そんなノスタルジックな雰囲気が魅力であり、ジェームズ・ガンがこの世界を見る時の眼差しのようでもある。地球のポップスが流れるのは、はるかかなたの銀河とも地続きであるような感覚をもたらしてくれる。

 

今作のキャラクター達はエモいというか、感情をむき出しにしながら動く。時にそれは衝動的で、非合理的で、失敗を招くこともある。されどそれらの感情はヒロイックな行動に繋がり、スペースオペラとしてもヒーロー映画としても一級品なこの映画の強度を見せてくれる。ろくでなしの無法者たちが次第に銀河の守護者になっていく『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はまるで我々の感情のすべてを肯定してくれるかのような優しさに満ちている。

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まさかの行動に一同涙が止まらない・・・

グルートの決死の行動も、スター・ロードのダンスも、全てはキャラの感情とそこから引き出される行動が見事にマッチして、泣けるを超越した何かエモいと言うべきなのかわからないものをこみ上げさせてくれる。彼らは感情的だが、そのすべてが肯定され、勝ち筋に繋がっていくのが『GotG』であり、MCU的運命論でもある。

 

アウトローを気取りつつもこんな優しい映画が撮れるジェームズ・ガンのお前この野郎感がニクい。『スーパー!』も気に入らない人間をぶん殴りながらも、最後には美しい郷愁への回想を織り交ぜていて、ニクい。

 

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『スーパー!』はオープニングから度肝を抜かれた。超名作

 

 

今作の第三幕は泣いてしまうシーンが盛りだくさんだ。金のためとはいえ一時的に銀河を守る戦いに身を投じることになるラヴェジャーズ、そしてそれに加勢しついにはダーク・アスターを止めるため逆シャア的作戦を展開するノバ・コーズ。「信用させてみろ」のセリフがかっけえ…。

 

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「ザンダーが駄目になるかならないかなんだ、やってみる価値はありますぜ!」

 

ロナンの倒し方が一番すごいと思う。インフィニティ・ストーンを手にしついに星に手をかけんとしたその時に急に踊りだすスター・ロード!面白おかしいシーンだが何故か目頭がアツくなる。

パワー・ストーンを制御するために手を繋ぐ、というのもまたいい。

手を繋げなかったのはクイルの人生最大の後悔だった。その後悔を、ここの母の幻視で克服する。

個で絶対的なロナンに対し、手を繋いで立ち向かうガーディアンズ。このビジュアルがまた泣ける。

ストーンは、クイルがセレスティアルズの末裔であることもそうだが、複数人で負担を共有すれば制御が可能というのはいつかまた拾われそうな気がする。 

 

これらの感情の畳みかけと、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだからだ」という決めセリフ、盛り上がる音楽に、毎回観るたびにエモさがどっと押し寄せてきてどうしようみなくなる。ザンダーの市民が目撃者としてその場に居るのがヒーロー映画らしさもあっていい。

 

 

 

しかし、こうつらつらと語っているとこの映画があん頃は良かったなぁ…と悔やむような形に終わらなくてホッとしてならない。

ジェームズ・ガンによれば、今作には彼以外誰も知らないイースター・エッグが1つ隠されているらしい。いつか誰かがそれを見つけ、彼がその真意を安心して語るときが待ち遠しい。